犬に指示を出す。
犬が従う。
すると飼い主は、
「いい子ー!」
と言いながら、いきなり頭をぐしゃぐしゃ撫でる。
首をわしゃわしゃ触る。
体を抱き寄せる。
でも、その犬は本当に喜んでいるでしょうか。
犬が指示に従った直後に、突然ベタベタ触られることを好まない犬は少なくありません。
顔をそらす。
体を引く。
動きが止まる。
そんな反応が出ていても、
飼い主は
「ちゃんと褒めた」
と思っていることがあります。
しかし犬からすると、
「言われたことをやったら、いつも通り触られた」
だけかもしれません。
褒めるとは、
飼い主が褒めた気になることではありません。
犬が
「それ、うれしい!」
と感じることをすることです。
撫でられるのが好きな犬なら撫でる。
遊びが好きな犬なら一緒に楽しそうに動く。
明るい声かけに反応する犬なら、その声を使う。
犬によって価値を感じるものは違います。
そして、もう一つ見落とされがちなことがあります。
それは、
普段からベタベタ触られている犬は、撫でられること自体に特別な価値を感じていない場合がある
ということです。
朝も撫でる。
帰宅して撫でる。
テレビを見ながら撫でる。
ソファで撫でる。
犬が横を通れば撫でる。
そんな生活をしていると、犬にとって撫でられることは日常の一部になります。
すると、
指示に従った後に撫でられても、
犬の中では
「褒められた」
ではなく、
「また触られた」
になることがあります。
つまり、
飼い主は褒めているつもりでも、
犬はその行動と「褒められた出来事」を結び付けていない可能性があるのです。
大切なのは、
自分が何をしたいかではなく、
犬が何を価値あるものとして受け取っているか。
そして、
その行動の直後に犬が
「やった!」
「またやりたい!」
と思えるかどうかです。
褒めるとは、
「いい子」と言うことでも、
とりあえず撫でることでもありません。
犬にとって価値のある身振り、手振り、声がけを使い、
正解した瞬間に
「それで合っている」
と伝えることです。
犬が喜んでいない褒め方は、
褒めているようで褒めていません。
そして、
普段から当たり前にやっていることを繰り返しているだけでは、
犬にとっては褒められたことにすらなっていない場合があります。
「私は褒めている」
ではなく、
「犬は褒められたと感じているか」
を基準に、褒め方を見直してみてはいかがでしょうか。


